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第9回GID学会におけるSRSについての報告

1. 最小の侵襲で行う陰茎陰核形成術の経験(埼玉医科大)
 FTMSRSは数回の手術、高額な費用、長期の入院期間、身体への大きな侵襲を伴う。
 当事者の中には身体への侵襲を最小限に戸籍の性別変更を希望するものがあり、そのような症例に対し尿道延長と膣閉鎖を伴わない陰茎陰核形成術を経験した。
 1回の手術で戸籍の性別変更が可能であったので報告する。
 全身麻酔下に経腹的に子宮卵巣を摘出した。
 外陰部の操作は同時に行った。
 小陰唇内側面に切開を加え、陰核海綿体中央の結合組織を切除して陰核を前方に伸展し、陰核亀頭部には擬似外尿道口を形成した。
 余剰の小陰唇は切除し、膣口を縮小させた。
 陰嚢形成は行わなかった。
 確立した手技ではないため、将来患者が陰茎形成術を望むときの術式については検討が必要である。

 FTM 1996年から2006年 63例
 術式 本法 従来法
 術例数 32 31
 所要時間 4時間35分 4時間56分
 出血量 440cc 888cc
 輸血 なし 15例
 入院期間 5.3日 10.4日
 休業期間 18日 44日
 尿漏れ 0 39例
 立位排尿 0 42例
 費用 111万 146万

2. 男性から女性への性別適合手術 われわれの術式(埼玉医科大)

 1999年から2006年の間にMTF19例。
 平均年齢は39.8歳(25から53歳)、術後経過観察期間は2ヶ月から2年である。
 術式は陰茎切断、精巣摘出、会陰部三角皮弁および陰茎陰嚢皮膚翻転による外陰部膣形成、亀頭部神経血管茎付島状皮弁による陰核形成術を一回で施行した。
 術死、暴行直腸障害をふくむ重篤な合併症、後遺障害は無かった。
 しかし深部静脈血栓症、イレウス、直腸、尿道損傷、術後大量出血、皮弁部分壊死、外陰部縫合線の解離、尿線の乱れなどをとくに初期の例に多く経験した。
 男性から女性への性別適合手術においては形成外科のみならず、外科、婦人科、泌尿器科などの知識、技術の総合力を必要とする。

 合併症は10例程度。
 下剤 前処置(剃毛等)は自宅で行う。
 手術の前日に入院する。
 手術時間は2時間35分〜6時間25分(平均4時間36分)。
 出血量255cc〜2000以上(平均624cc)
 入院日数 平均11.8日
 費用 140〜170万

3. 男性から女性への性同一性障害における術後外陰部の経時的変化(埼玉医科大)
 性別適合手術後の当事者は、目的が達成されると病院から離れ社会に埋没して生活することを希望し、長期間の継続した経過観察が難しいとされている。
 そのため手術結果が術式や医療サービスにフィードバックされる機会を逸しやすい、
 これは外科医、術後に不安を持つ当事者、これから手術を検討している当事者にとって不幸な事実である。
 1999年より2006年12月までに19例のMTFSRSを施行し、14例に対して最長2年までの経過を観察できたので報告する。
 術直後の約3〜6ヶ月は合併症無く順調と思われてもさまざまな愁訴を認めることが多かった。
 12ヶ月程度で形態はほぼ安定した。
 外陰部の修正手術を施行したのは1例、恥骨部の陥凹は約12ヶ月で消失した。

 術後の当事者は限られた情報の中で自身の術後経過に大きな不安を持っていた。
 術後の定期的な経過観察のための再診は、患者が適切な医療情報を得、かつ提供し、医療起案を通じて後の世代へ伝達されることでよりよい医療が開発される貴重な機会となりうる。

 痛みと出血 傷の経過の訴えは3ヶ月までに集中している。
 再手術は十分時間が経過してから行うこと。
 膣の深さの平均は10cm。

4. 包括的GID治療に向けての当院の取り組み(ナグモクリニック)
 当院では20年来MTF, FTMの患者にそれぞれ豊胸手術、乳房切除術を行ってきた。
 精神科医の診断後、医療グループによる承認のみをもってあらゆる治療をおこなえるという2006年の日本精神神経学会ガイドライン第三版への改定に伴い、当院は現行のガイドラインに準拠した包括的診療への移行を模索している。
 診療内容は、精神科診療、性別変更判定会議の施行、ホルモン療法の実施、乳房形成術(乳房切除術, 豊胸手術)、SRS(当院での手術が可能になるまでは海外の病院への手術斡
 旋)、海外で手術を受けた患者のフォローアップや修正手術である。
 また外科技術の普及と向上のために、国内外から著名な医師を定期的に招き、講演を開くことも計画している。

 海外の状況
 韓国 主にMTF 東亜大学 S字結腸を用いた術式
 台湾 FTM 腓骨を使う
 タイ 安価 MTF/FTMともに実績あり

 日本における医療
 長所
 確実なアフターケア
 コミュニケーションが楽

 短所
 技術が未熟
 長く待たされる
 施設 スタッフの不足
 精神科医療は保険適用であるのにSRSは自費という格差
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