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 学会報告

2009年2月15日 9:30‐10:10 一般演題3
    座長 中根 秀之
       (長崎大学大学院医歯薬学総合研究科医療科学専攻展開医療科学講座精神神経科学)
   11.  47XXXの性染色体異常が見つかったFtMTSの1例
     ○渡邊尚子1)中根秀之2)越本莉香2)安藤幸宏3)一ノ瀬仁志2)木下裕久1)
    井上統夫4) 増崎英明4) 小澤寛樹2)
    1)長崎大学医学部・歯学部附属病院 精神神経科
    2)長崎大学大学院医歯薬学総合研究科医療学専攻展開医療科学講座精神神経科学
    3)長崎県離島医療圏 上五島病院
    4)長崎大学大学院医歯薬学総合研究科医療科学専攻展開医療科学講座産科婦人科学
性同一性の発達については精神年齢、コミュニケーション・身体・社会・自助・学歴の各スキルと関連することが知られている。
また性同一性障害と性染色体異常の併存症例の報告がいくつかある。
今回われわれは、生物学的女性で性同一性障害と広汎性発達障害(アスペルガー症候群)の併発を疑われ、さらに遺伝子検査により47,XXXと性染色体異常が見つかった症例を経験した。
症例は31歳の生物学的女性。
3歳ごろから性別違和感を感じており、20歳のとき両親に対してカミングアウトした。
27歳で泌尿器科においてホルモン療法を開始。
将来的には改名や性別適合手術も考えカウンセリングを希望し当科初診となった。
臨床症状から、性差の結果、ICD-10ではアスペルガー症候群と考えられた。
また持続的な生物学的性に対する違和感、反対の性に対する同一感を認め、ホルモン療法の既往もあることからICD-10ではGIDの性転換症でもあり、アスペルガー症候群に併発するFtMTSと診断した。
染色体検査を行ったところ結果は47,XXXであり、性染色体異常がみつかった。
GIDの診断確定で染色体異常が認められても身体的性別と性同一性が一致してしない場合、これらを広くGIDの一部として認めるが染色体検査は必要と考えられる。

 

12. 適応障害を合併し入院加療を要したGIDの3症例
    ○稲田貴士 堀貴晴 木下真也 康純 米田博
    大阪医科大学総合医学講座神経精神医学教室
GIDでは就労、家族との関係、恋愛などストレッサーとなりうるさまざまな問題があり、適応障害やうつなどの精神疾患を合併することがある。
多くの場合は外来での加療が行われるが入院加療が必要となる場合もあり、この際には通常の入院とは異なる配慮が必要となる。
今回われわれはジェンダークリニック通院中に適応障害を合併し、入院加療を要した症例を経験した。

入院環境の配慮
1. 病室は個室とする
2. 入浴は職員用シャワーを利用する
3. 食事 病室での食事
4. 通称名の使用

合併症の治療にも対応していけるようなシステムを整備していくことが必要である。

 

13. 性同一性障害(GID)患者に生じた適応障害にガイドライン第1段階の精神科治療が奏効した1例
   ○引地孝俊 森亜由実 河野寿恵 河野伸子 江藤裕子 寺尾岳
    大分大学医学部付属病院精神科
[症例]
15歳 MTF 初診時は患者は中学生であったが不登校が長く続いており、適応障害の状態であった。
[治療経過]
患者は強い性別違和感を長期間有した結果不登校に陥っていた。
治療は低下した自尊心(dignity)の回復に主眼をおいた精神療法と環境調整を行った。
また通学中の中学校の要請で全教員対象の勉強会を開催して、疾患の正しい認識を広げていった。
進学した高等学校では、管理職・養護教諭の理解を得て積極的なサポートを得て本人を女生徒として扱うことになり、制服も女子用の着用が許可された。
その結果ほぼ毎日登校する状態となり、「高校生活が楽しい」と診察場面で笑顔で話すようになった。
GIDの患者の精神科治療には、自尊心に着目した心理的ケアと、周囲の人たちが本疾患に対する正しい医学的知識を持つことの重要性が示唆された。

 

14.エディプス期における親への同一化と近親相姦的リビドーから考察する
     性自認と性指向、パーソナリティ障害の関連
    山岡 純也
    性指向・性自認のセクマイ当事者による研究会
1. 本研究の目的
セクシュアルマイノリティ当事者の視点から、性自認、性志向の決定メカニズムを探ることを目的としている。
当事者との交流の中で 一般社会 < 同性愛 < 性同一性障害の順に「性格の偏り」や「判断力の欠如」が大きくなるとの実感を持った。
その原因を探ることにより、同性愛や性同一性障害の発生原因に迫ることができるものと考え研究を行った。
2. 研究の方法
自分自身を含め当事者の家族構成、親の性格傾向、子の性自認、性志向について収集と整理を行った。
ネットの掲示板、SNS等を利用して「親をどのように思うか」という内容の心理調査と、プロフィールの調査(性自認、性志向と精神症状の有無)を行った。
「同性愛の男女比は男性が多い」など、既に知られている情報も含め、ブレイン・ストーミングに準じた方法で、当事者から関連のありそうな項目を抽出してもらった。
同性愛、性同一性障害ともに親への依存または嫌悪が高い割合で存在する。
親への依存と嫌悪は性自認や性志向と密接な関連性が認められる。
一部の事例において、同性愛と性同一性障害の分岐点の存在、近親相姦的リビドーの遅延と男女逆転が確認された。
性自認、性志向の未確定な場合は、抑うつなどの精神症状とともに精神の未熟な傾向が強い。
3. 結論
親への依存と嫌悪が、エディプス期の同性の親への同一化、異性の親へ近親相姦的リビドーを向けることに対する阻害要因であることが確認できた。
同性の親への同一化を阻害する要因は、異性親の依存、同性親の嫌悪である。
異性の親へリビドーを向けることの阻害要因は、異性親の依存、異性親の嫌悪、同性親の嫌悪である。
両親の一方または両方に、依存または嫌悪の対象となるパーソナリティ障害が存在することによって、性自認、性志向の異常が発生する可能性が高いものと考えられる。
(性格傾向を説明する都合上パーソナリティ障害としているが、診断基準に達しない、その傾向を持った人を含む)

Q. 遺伝的要素についてどのような検討がなされていますか?
A. 性格のかたよりに遺伝的要素があると見ています。

 

2009年2月15日  10:20‐11:00 一般演題4
   座長 織田 裕行(関西医科大学精神神経科学教室)
15.大学生に対する性同一性障害講義の効果
  ○池田官司1)2) 塚本壇2) 畠山茂樹2) 舛森直哉2) 遠藤俊明2) 向井聖子1)
  1)北海道文教大学人間科学部作業療法学科2)札幌医科大学附属病院GIDクリニック
本研究の目的は、学生が性同一性障害に関する講義を受ける前と受けた後でどのように性同一性障害に関する認識を変化させるかを明らかにすることである。
(受け手の反応を知ることは講義の質の向上 情報の発信の向上に役立つと考えられる)
北海道文教大学人間科学部の第1学年を対象に、性同一性障害の概念、疫学、症状、診断、治療、などについて、80分間の講義を行った。
学生は終了直後A4用紙1枚に感想を自由記載した。
作業療法学科学生48名が記載した感想を解析の対象データとした。
解析はデータから概念生成を行い複数の概念をカテゴリー化した。
「事前の知識カテゴリー」には、金八先生で知った、同性愛・オカマ・ニューハーフ等と混同していた、よく知らなかった、偏見があった、という感想を含めた。
「驚きカテゴリー」には、受診者の多さへの驚き、高い手術技術への驚き、性別違和感の自覚が早いことへの驚き、医療などが整備されたのがごく最近であることへの驚きを含めた。
またMTFとFTMの頻度の差、病因などに知的興味を示したものもあった。
「つらさへの共感カテゴリー」には、わが身に置き換えての共感、自分自身の類似した体験からの共感、当事者との出会いからの共感、家族への共感を含めた。
この「つらさへの共感」にはほとんどの者が言及していた。
「抵抗感カテゴリー」には、自分とは異質であり理解しがたい、性別適合手術には抵抗を感じる、という感想を含めた。
「意識の変化カテゴリー」には、当事者を受け入れ理解できるようになりたい、他の人にも伝えたい、より多くの人が受け入れ差別や偏見がなくなるべき、とする感想を含めた。
学生は、性同一性障害についての講義を受けた後で、とくにその精神的苦痛に対してさまざまな形で共感を示し、より広く社会が受け入れるべきと考えていた。

 

16. 小・中学校の教員における性同一性障害に関する知識と性別違和感のある子どもへの対応
  ○菊池由加子1 新井富士美1 佐々木愛子1,2 小谷早葉子1 松田美和1,2 中塚幹也1, 3
  1)岡山大学病院ジェンダークリニック産婦人科
  2)岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 3)岡山大学大学院保健学研究科
性同一性障害では、思春期までに性別違和感が強くなる場合が多い。
わたしたちは思春期の問題と医学的介入の可能性に関して報告してきたが、医療施設受診の契機としての学校の役割は重要である。
今回、小・中学校の教員に対してGIDに関する知識と、性別違和感を持つ生徒への対応について調査を行ったので報告する。
2008年5月に開催された人権教育担当者研修会に参加した岡山県の小・中学校の教員を同意のもと対象とした。
GIDの子どもに関する講演会の前と後とで事故記入式質問紙調査を行った。
教員数は217名であり、小学校が128名、中学校が52名、特別支援学校が9名、所属の記載なし28名であった。
年齢は45.2±7.5[23~59]歳、教育歴22.0±7.4[0~36]年であった。
GIDについて知っているか?に関しては、「よく知っている」14.2%、「あまり知らない」「まったく知らない」は7.1%であり、多くは「聞いたことがある」であった。
23.8%の教員が、今まで自分の周囲に性別に関する悩みを持っている子どもがいた、11.2%が、自分自身が担当したと回答した。
このような子どもへの対応として、講演を聞く前と後では、
「どうしてよいかわからない」が9.6%から3.4%へ、
「その点にはかかわりたくない」が1.0%から0%へ、
「教員で相談して対応する」が66.8%から52.2%へ、
「保護者に任せる」が1.0%から1.4%へ、
「医療施設に相談する」が22.1%が39.1%へと変化していた。

 

17. GIDにおける高齢化問題
    太田正  GIDの老後をよくする会(iigidrougo2009@yahoo.co.jp)
高齢化はGIDの当事者にとっても隔てなく迫ってきています。
現在は少ない高齢当事者割合も、あと10〜20年すれば、40〜50歳代の方が高齢者と呼ばれる年代に入り、高齢化の問題に直面せざるを得ません。
ところが日本ではGID当事者の高齢化問題についての取り組みはほとんど進んでいないと感じています。
その主な理由としては
・一般男女におけるような、社会道徳や規範として確立された、青年期から老後・死亡に至るまでの「ロールモデル」が存在しない
・GIDが疾患として確立されてからまだ10年少々の期間しかないため、高齢化に伴う問題が顕在化していない
・体の性別と心の性別が異なるため、社会生活を円滑に行うためのノウハウも必要だが、そのほとんどは当事者間で流通し、あまり表に公表されない
ことなどが考えられる。
「身体機能が低下した場合の介護」「GIDの認知症」「同性介護」そして「介護施設への入所」など、GIDが高齢化したときに予想される諸問題が今後解決されなければならない。

 

18. 生殖細胞を自分の性に合わせたIPS細胞の利用の検討
   丹野まみ 
(目的)
現在、家族制度は崩壊し、GIDも多種多様な生活様式をとるようになってきた。
生殖もそのひとつで、今後、GIDも生殖補助医療を用いた手法により近い将来MTFの出産やFTMと女性のカップル間の出産が報告されるものと思われる。
それに先立って現在可能性として考えられる出産の方法を検討する。
(方法)
現在 わが国では生殖細胞作製の実験は認められていない。
しかし京都大学再生医療研究センターの山中伸也教授のiPS細胞(人工多能性幹細胞)が発見されて以来、体細胞からいろいろな組織ができることがわかり、生殖細胞作製にも利用できる可能性がでてきた。
iPS細胞などの万能細胞を用いることにより、望みの性に合わせた卵子や精子を作製できるのではないかと考え、パートナーとの遺伝的な交配の可能性をX遺伝子とY遺伝子を用いて説明する。
(結論)
MTFと男性のカップルの場合、Y型卵子を省いて考えると予測されるのはX型卵子とX型精子、X型卵子とY型精子の組み合わせが考えられ、それぞれ表現形は女性と男性になる。(子宮移植との組み合わせで)
またFTMと女性のカップルについてはどちらもX型遺伝子の精子とX型遺伝子の卵子なので、生まれてくる子は女性のみと考えられる。
しかしGIDの生殖補助医療はステロタイプをなぞって強化していく側面もある。

 

2009年2月15日 11:10‐12:10 シンポジウム2 「GIDと法」
  座長 大島 俊之(弁護士法人淀屋橋・山上合同)
   GIDをめぐる近年の法的諸問題     大島 俊之(九州国際大学法学部)
昨年の最大の成果は性同一性障害特例法が改正されたことである。
二人の当事者から「子無し要件」に関する裁判や、特例法の改正に向けた運動についてお話いただく。
次に弁護士の立場からGIDに関する法的な諸問題について鈴木隆文弁護士に発表していただく。
・特例法の改正
特例法の「子無し要件」が「子どもの成年要件」に改正された。
・中解決
報道によれば島根県の当事者がいわゆる「中解決」(行政による解決)を求めて活動している。
行政側の一定の理解を得ることはできたようだが、現時点では成功するには至っていない。
・職場における問題
報道によれば職場において不当な差別を受けている当事者が存在するようである。
判例上では、当事者の性同一性障害に関する事情に照らすと懲戒解雇は不当であると判断した先例がある。
・刑事収容施設での処遇
あるMTFが調髪処分の差し止めを訴えたが、その請求は棄却された。
日本弁護士連合会の人権擁護委員会は、近時、刑事収容施設内でのGID当事者の処遇の改善に関心を払うようになっている。
・保険適用
SRS等への保険適用がなされていない現状は改善されるべきである。

 

子無し要件をめぐる私の裁判      大迫 真実
   地方からの取り組み〜生駒フォーラム〜
特例法施行後、「子無し要件」は、要件を満たさない当事者にとっては、当事者の意思ではどうにもならない要件であった。
子どものいるMTF当事者として、「子無し要件」の撤廃に向けて、却下されることを承知しつつ、平成18年11月13日神戸裁判所尼崎支部に審判の申立を行った。
最終的に最高裁まで特別抗告を行ったが申立は棄却された。

 

森村 さやか(性同一性障害特例法の改正を求める会)
2003年7月、GID特例法成立の際、子どものいる当事者として「子無し要件」削除を決意した。
その後、関西の各自治体に要望書を提出、議会で意見書採択などの成果を得た。
また平成18年11月より大迫 真実さんとともに裁判を開始した。
今回の特例法改正では完全な要件削除とはならなかったが、民主党政策INDEX2008に、GID特例法のを再改正し未成年の子どもがいても性別変更を可能とすることを目指すとする文言が盛り込まれたことは、すばらしいことと考える。

 

弁護士から視える性同一性障害と社会の接点(当事者とともにたどった道すじ)
   鈴木 隆文(弁護士)
弁護士の役割は、個々の事件の司法的解決に当たることであり、立法的解決とは役割や限界は異なる。
問題提起的訴訟も存在するが、その事件の判決等は事案を離れて一人歩きすることが多い。
性暴力事件では、当事者は自身の性同一性に触れる部分を攻撃されるため、被害そのもので大きな傷を負うだけでなく、医療機関、捜査機関、弁護士など初対面の第三者に対して、本人が希望せずとも自らの性同一性について語らざるを得ない状況に追い込まれる。
そのため被害者への偏見や過度の同情がなされその二次被害が多いのではないか。
大半の加害者と専門者は、安易に「完全な男と完全な女」という異性愛幻想に逃げ込むので、被害の否認や軽視に陥りやすい。
労働事件では、多くの場合就労の困難ゆえ貧困に陥ることがある。
とくに性別変更前の性別で採用され、後日変更後の性別での取り扱いを会社に求める場合には、当事者および会社双方にとって困難が伴う。
配置転換などで自身の過去を遮断できれば良いが、そうでなければ上司や同僚が変化の過程を日々目撃しており、その中には不快感や嫌悪感を抱くものがいることも事実である。
当事者はその移行過程でストレスを抱え込み、能率低下や人間関係の不調など職場不適応を起こしやすい。
最悪の場合は、雇用主が解雇を言い渡すこともある。
解雇には理由が必要であるが、こじつけに近いものまで含まれる。
労働事件の中には、性同一性障害か否かにかかわらず、会社での人間関係が困難な者も当事者に含まれており、会社と折り合いが付かなくなりその結果出勤せず、結局無断欠勤などを理由に解雇されることも多い。
家事事件の中では、性別変更後に婚姻を希望しているもののすでに養子縁組をしており、性別変更後の婚姻の障壁になる件もあったが、後日の婚姻希望を伏せて、ただ過去の縁組がその意志に基づかないという事実のみを強調して事件を進行させたこともあった。

 

2009年2月15日  13:30‐15:00 特別講演 「性同一性障害二十年のあゆみ」
  座長 中根 允文 
         (長崎大学 名誉教授)
  講師 虎井 まさ衛(オフィス然nature)
GIDはその呼称こそ確定していなかったものの、1996年に埼玉医科大学が日本発の公式治療に踏み切る春改善から、常に存在していた現象である。
わたしは1980年代前半に、アメリカにおいてFTMのSRSを受けた者であるが、当時は「変性症」という呼び方が多く使われていた。
医学書よりも文化人類学や社会学の本に散見されていた。
SRSにしても「特殊な水商売の人がする手術」という捉え方が一般に浸透していた。
今回の講演では、その「変性症」の時代からの20年間の変遷についてお話したい。

1984年 「脱男性の時代」に出た。
当時は「変性症者」と呼ばれた。
1987年 アメリカにわたりスタンフォード大で手術を受けた。
1987年 朝日ジャーナルで初めて「虎井」の名前を使った。
当時は見世物の扱いだった。
1994年 原科先生のお宅に伺い治療の希望を伝えた。
FTM日本を創刊した。
1995年 世界性科学学会が横浜で開かれ、公開シンポジウムで講演し日本の状況を説明した。
1996年 TNJが発足した。
1997年 日本精神神経学会がガイドラインを制定した。
1998年 GIDを理由に改名が認められた。
FTMのSRSが埼玉医科大学で行われた。
2000年 南野知恵子先生の紹介で自民党でのGID勉強会が始まった。
2001年 岡山大学で最初のSRSが行われた。
6人で性別変更の一斉申し立てをした。
2003年5月 特例法の骨子が固まった。
2008年6月 特例法が改正された。

 

2009年2月15日  15:10‐15:40 一般演題5
    座長 二宮 ひとみ(大阪医科大学総合医学講座神経精神医学教室)
19. 性同一性障害(GID)における認知機能についての研究
   ○田中真理子 縄田秀幸 石井佳美 浦島創 矢野理佳 西村良二
    福岡大学医学部精神医学教室
近年、性同一性障害者の認知機能に関する研究が注目を集めている。
一般に男性は数値計算や空間認知に優れ、女性は言語能力や記憶力に優れるといわれるように、人間には男女の性差によって影響を受ける認知能力が存在する。
このような性差能力について、いくつかの研究が行われているが、Haraldsenら(2003)の行った性同一性障害者の認知機能に関する研究では、認知検査の各要因はジェンダーアイデンティティではなく身体の性に依存していた。
一方これとは対照的にEgawaら(2003)のおこなった研究によれば、認知機能は互いに身体の性に依存していなかった。
現在のところ、性同一性障害者に関する研究は国外国内ともにまだ不十分であり、このように性同一性障害者の認知機能についても見解が分かれている。
(目的)
今回われわれは、性同一性障害の認知機能が身体の性に依存するのか、ジェンダーアイデンティティに依存するのか検討することを目的に調査を行った。
(方法)
福岡大学病院精神神経科外来に通院する性同一性障害者のうちFTM20名と、対照群として性別違和のない女性20名を対象とした。
両群に対し、一般に性差能力の研究に使用されている認知機能検査のうち、
男性優位課題として”古当て課題 3次元心的回転課題、
女性優位課題として8生賣暢性課題 ぅ撻哀棔璽媛歛蠅4項目を行った。
それぞれの得点についてt検定を行い、両群を比較した。
(結果)
4項目の課題において、男性優位課題のうち、標的当て課題においてややFTM群で対照女性群より得点の高い傾向を示したが有意差は認めず、他の項目においても両群間に有意差は認めなかった。
(考察)
今回おこなった研究では、性差があるといわれている認知機能について、性同一性障害者群では対照女性群と同様の傾向を示し、ジェンダーアイデンティティに依存するものではなかった。

Q. 性同一性障害者群について生活歴による分類はしているか?
A. していない。
性同一性障害者群のほとんどは男性として生活している。

 

20. 性同一性障害当事者における性指向(sexual orientation)の個人内変動性
    ○佐々木掌子
     日本学術振興会・慶応義塾大学文学部
(目的)
性志向の心理的測定を開拓したKinseyのKinseyスケール(1948)を拡張させたのが、Klein Sexual Orientation Grid(1978)である。
この尺度は過去・現在・未来において、「性的魅力」・「性行為」・「性的空想」など領域ごとに性志向を設定して質問することに特徴があり、その人の詳細な性志向を捉えようとする。
本研究では、特に過去と現在に焦点を当て、,匹里らいの割合で性志向の個人内変動があったのか、∧册阿ある人はもともと両性愛傾向があったのか、J册阿靴笋垢い△襪い呂靴砲い領域は何かについて検討した。
(方法)
質問紙調査法による。
Klein Sexual Orientation Gridを参考にし、6領域において対象となる性別の回答を求めた。
協力者は性同一性障害当事者442名(MTF164名 FTM288名)である。
6領域とは性的魅力、性行為、ファンタジー、恋愛、愛情、仲のよさである。
(結果と考察)
FTMでは変動のあった人が18.1%(6領域平均)、MTFでは37.2%(6領域平均)であった。
性志向と変動との関連をχ2検定したところ、ほぼ全ての領域で有意に両性愛傾向の人のほうが変動していた。
,MTFのほうが変動のあった人の割合が高いという結果は、MTFのほうが両性愛志向のの人の割合が高いためであると考えられる。
もっとも変動の小さい領域は、相対的に「愛情」であった。
FTMは70%(過去)・73%(現在)が女性を対象とし、MTFは43%(過去)・44%(現在)が両性を対象としていた。
FTMでは「性行為」「仲のよさ」がやや変動の大きい領域であったが、MTFにおいては「愛情」以外の領域は、変動に大きな違いは見られなかった。

 

21. 当事者である前に、“一個人”として向き合えるか否か
    ○古川慎二   結び葉クリニック
(目的)
GIDとして位置づけられ、治療に対するガイドラインが制定され、さらに医療機関の拡大、そして研究会から学会へと発展し早11年あまりの月日が経過した昨今、当事者たちはより幸せな人生を手にしたかのように思われる。
しかし都市と地方の医療格差、インターネット上での情報依存と危険性、当事者のセクシュアリティの多様化複雑化、若年層の社会での居場所探し、そして家族・友達・社会への適応障害など…当初よりは深刻な問題が新たに浮かび上がっているという”現実をまず知る”ことを目的とする。
(方法)
地方出身のクライアントであるFTM3名をケースレポートとして発表し、それぞれの立場で人生設計を築こうとする当事者の多様化している現実を報告する。
ケース1: 24歳FTM(埼玉)胸オペ ホルモン療法 SRS 改名 戸籍性別変更
ケース2: 26歳FTM(大阪) 胸オペ ホルモン療法 改名
ケース3: 20歳FTX(群馬)自称GID 未治療
1) 都市であろうと地方であろうと、同等な治療経過を継続するには医療連携が必要。
2) 治療方法、社会でのパス方法テクニックなどマニュアル化してしまい、応用が利かない若年層は一般社会への適応障害が見られる。
3) 個人的なセクシュアリティを尊重する治療の傍ら、性の快楽を求めるFTMゲイも当事者が増え、それに群がる割り切った性欲のパートナーを探す男性が増えている。
また望む性別で就職できない当事者が治療に必要な費用を確保するため、金銭の絡む割り切った性行為を男性とするFTMも少なくない。
4) 幼少の家庭環境や思春期への経過段階で形成された人格は、GID治療後に影響を与える可能性がある。
5) ガイドラインに沿った治療を進めていき、名前も戸籍も”別の者となること”が人生の目標だと考えている人がいる。
(結論)
GIDの診断や治療に携わる医療関係者、当事者をサポートする支援者はどこまでを支援していくのか?
多面性を持ち合わせている当事者とかかわっていくのであれば、近隣の医療機関や専門の方々と連携しながら当事者、家族、パートナーも含めて支えていく必要がある。

 

2009年2月15日  15:50‐16:50 シンポジウム3 GIDの家族支援を考える
 座長 児島 達美(長崎純心大学人文学部人間心理学科)
 指定討論 加来 洋一(長崎純心大学人文学部現代福祉学科)
GID当事者への医療的支援およびそれに伴う社会的支援体制の整備は十分とはいえないまでも着実に進んできていると思われる。
当事者が自らが望む性を獲得していく過程において、その影響をもっとも大きく受けるのが家族である。
とくに当事者の多くが性同一性に対する違和感を強く感じ始めるのが学童期・思春期であることからすると、それまで男の子もしくは女の子として当然のごとく養育し、それを前提に子どもへの親密性を形成してきた多くの親が、そうした子どもの変化に直面した際の困難は想像をはるかに超えるものと思われる。
同時に対社会・共同体的な関係においても、親が抱く葛藤の様相は、一貫した性差のもとに構築された今日の社会制度を前にして、より深刻なものとなる。
こうしてみるとGIDは他の障害にもまして家族との関係を避けて通れない問題であると言える。
こうした点からGIDにおける家族の支援は今後さらに積極的に行われる必要があると考えられる。
本シンポジウムにおいては多くの学童期・思春期の当事者とその家族にもかかわっている臨床の専門家たちとフロアの参加者を交えて討論をとおして、より効果的な家族支援の方法とそのための支援システムの開発に向けた方策を探る。

 

   学童期のGIDに対する治療経験から
            康 純(大阪医科大学総合医学講座神経精神医学教室)
GIDの方が自分の希望する性で生きていくことを決意し、RLEやカムアウトの検討を行うときに、非常に多いな鍵を握っているのは家族の理解である。
家族の理解と協力が得られることはRLEの範囲を拡大していく推進力となる。
学校や職場ではある程度のRLEを行えており、身体的治療を希望しているが、家族にカムアウトできないためにホルモン療法を始められない未成年者もいる。
また幼少期に身体的性に対する違和感を持っていることを、家族から否定されて育った場合と、おおらかに対処されて育った場合とでは、自尊心の発達にも違いが出ると考えられる。
RLEをおこなっていくにあたり、自己に対する否定的感情が強い場合は挫折感を抱きやすい。
このように考えるとGIDの方にとっ家族の理解は、希望する性での生活を獲得していく上でかなり重要な要因を占めると考えられる。
思春期以降に性自認にしたがった生活を始めていく場合には、自分の思いを友人など家族以外の人たちにカムアウトして社会生活の中でサポートをうけることができるため、家族の理解が得られなくてもRLEを拡大していくことができる。
しかし小学校入学前後で性自認に違和感を持っている子どもたちにとっては、家族の理解無しにはRLEはありえない。
最近ではGIDに対する世間一般の理解も進み、自分の子どもの性別違和を受け止めようとする家族も増えてきている。
しかし成長過程の中で、学校生活や友達との関係、さらには社会の中で受け入れられるかどうかについて非常に強い不安を持っている。
また子どもの苦悩を目の当たりにして、何とか希望する性での生活をかなえてあげたいと考えたとき、親が主導権を握ってしまうこともある。
不安を軽減し、将来まで見据えた上でその時点での子どもの思いをどのように受け止めるのかを含めて、家族に対する精神的サポートは非常に重要であると考えられる。

 

   GIDと当事者の家族への支援     
            安日 泰子(やすひウイメンズヘルスクリニック 院長)

わたしは産婦人科医の立場で20年前より性教育・健康教育を地域で行ってきた。
その過程で1994年より長崎大学の全学教育「人間の科学-性と生」に非常勤講師としてかかわる機械をいただいたことは、わたしにとって刺激の多いことであった。
性科学という学問があることを認識し、中でも「性の多様性」というテーマは私にとって目を見開かされる世界の始まりだった。
「かかりやすい婦人科」をコンセプトに5年前に開業した当院は、妊娠・出産以外のさまざまなニーズをお引き受けする「窓口」として機能させたいと考えている。
地域での思春期を対象とした単発性教育講演で、この数年間は「性的マイノリティの存在」について言及している。
情報の細い糸を手繰るようにして、当事者や相談を受けた養護教諭から当院に連絡をいただく。
当事者よりも先にその保護者が相談においでになることもある。
少ない経験であるが、ご本人の気持ちを、次にどこにどのように結びつけるのか、といった情報を求められる。
わたしが出会った保護者の方々はGIDという事実に対して、当事者とともに初期の混乱の最中にある方もいれば、あるいは、恐らくわたし自身が辿った「性の多様性・個性」に気づく過程を同様にご自身も経験され、全面的に理解支援する保護者もいらっしゃる。
GIDはいまやさまざまなメディアで取り上げられ、混乱も起こっているように思う。
わたし自身も啓発したからには、適切に専門家への道筋を交通整理できるように、日々それに関わる情報にアンテナを張っておかねばならないと意識している。
さらに当事者の周辺、主に家族の方々への安定した精神的ケア(家族の喪失感ケアも含め)の提供も必要とあればお引き受けしたい。

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